- 前:NPO法人日本臨床研究支援ユニット理事長
東京大学名誉教授
福島市出身 永久代表
本当の空を住処とし、ますます視野を広げ、先見の明に磨きをかける
- 参議院議員
東京都浅草生れ
きぼうときずなのある日本を目指して、天空と交信を続ける
- 医療関係者やスタッフを乗せて被災地を縦横無尽に駆け巡っている。三つ子。福島県いわき市在住
大空のもと、道なき道も走り続け、銀河車両を目指す
No.80 14年目の3月11日 希望と絆のある未来へ
なんでもやるという覚悟をあらたに!
……2024年3月11日
東日本大震災発生の日から13年、そしてあの日から3年ですよ
……そうですか、僕がこちらにきてからも、もう3年になりますか
先生と走り続けて10年、遺志を継いで3年です
……“きぼうときずな”は頑張ってくれてますね
大橋先生の後継者甘利理事長も、保健師AIBA君も、看護師恵子さん君江さんも、事務局T嬢も、そしてかなりボロボロになってはきましたが医療支援車ペ号も、みんな一丸となって頑張ってますよ
……それを聞いて安心しました
昨年の3月11日、富岡町での支援活動で風を切って走るぺ号です。
ぺ号は震災当初、韓国の俳優ぺ・ヨンジュン氏からきぼうときずなに車3台を寄贈して頂き、2011年5月から現在まで医療支援車として福島県内の被災地を走り回っています。
実はぺ号はきぼうときずなの活動に寄せられる皆さまの寄付で運営していました。13年たった今でもガソリン代にと毎月寄付してくださる方もいらっしゃいます。今年の能登半島地震の際も、その方々からきぼうときずなの寄付口座で、能登半島の被災地へ支援金を寄付したいとの申し出がありました。石井は被災地を忘れず応援して下さる方がいることに胸が熱くなり、すぐにきぼうときずなのホームページで能登半島地震支援金の寄付を受付けることにしたのです。
今月も月末までしっかり活動が入ってますからね、all season! always!
……よろしくお願いします
もうすぐ春ですね!きぼうときずな今年度の活動も終盤を迎えています。写真は2024年3月14日に岩沼市玉浦西地区中集会所と、4月3日の福島市北中央団地集会所での健康チェックのポスターです。被災地の皆さんにお元気で春の活動をはじめていただけるよう健康チェック開催へ準備をしています。
1月の能登半島地震以来、2011年のことを毎日のように思い出しちゃってるわ。
あの時、先生は長期的な支援が必要になることを見据えてきぼうときずなの活動を開始したんでしたね
……
13年経った現在、東日本大震災の被災地は着実に復興にむかっています。
でも原発事故による被害をうけた福島県については、いろいろな意味で厳しい状況は続いているわ
……被災された住民のみなさんの高齢化という問題もあります
医療支援活動を始めて顔なじみになった方々も、あれから10歳以上年をとりましたからね、足腰を悪くして動けない方や、残念ながら亡くなってしまわれた方とかも。
寂しいですよ、とっても
……
きぼうときずなの活動を振り返ると、2013年9月、福島県の栄養士会の協力を得て、「富岡町敬老会で」はじめての健康チェックを開催させていただきました。ここからが今に続く健康チェックイベントのスタートでした。この時参加してくださった方も10年を経て、ますます健康チェックとケアを必要としているのではと思う石井です。
敬老会で、チラシを配ったり会場案内など率先して働く大橋と石井です。このよく働く熱いコンビで、きぼうときずなの活動を引っ張り、ひいては石井が復興支援のために政界へ進出する行動力へとつながっていきます。
先日富岡町のさくらモールで健康チェックを開催した際に、救急車を呼ぶハプニングがあったんです
……僕も上からみてましたけど、石井さんも甘利さんも心配そうに付き添ってましたね
さくらモール富岡は双葉郡富岡町にあって、原発事故の被災地双葉郡で唯一のショッピングセンターなんですよね、だから近隣の町に住んでる人たちもみんなここにお買い物にくるのね。
スーパーマーケット、医療品店、ホームセンター、それからフードコートには4軒くらいお店があって、オープン当初から比べればずいぶん人出は増えたと思うわ
……
富岡町の“さくらモールとみおか”は双葉郡の住民たちの唯一のショッピングセンターで、近隣のお年寄りも買い物にいらっしゃるライフラインともいえる場所です。きぼうときずなは、こちらでもう何年も健康チェックを開催、最近ではスタッフが嬉しい悲鳴を上げるほど多くの方に参加して頂いています。顔なじみになった高齢者も多く、きぼうときずなを温かく迎えてくださり、石井もスタッフも第二の故郷のように思っています。
あの日、隣町の大熊町から買い物にいらしたという老夫婦がいらっしゃいました
……大熊町は福島第一原発が立地する町で、2019年4月、まずは町の南西部が避難指示が解除されました
そうです。よく覚えてらっしゃるわ。さすが大橋先生
その後、2022年6月には帰還困難区域の避難指示も解除になったんです。
昨年の7月現在570人が町に居住、老夫婦もその中の1世帯ということね。
大熊町の自宅からタクシーでさくらモールに買い物にいらしてんのよ
……おばぁさんの方は手押車でさくらモールの中を行き来してましたね
足が悪いみたいなのよ、おじぃさんが常にかばってるって感じだったわ。
でもおじぃさんも心臓が悪くていわきにある医療センターに通ってるとおっしゃってたの
……
時間かけてゆっくり見ながらお買い物、そしてフードコートで食事をされてて……
……突然のSOSですか
老夫婦の近くにいらした方が、おじぃさんの異変に気がついて、きぼうときずなのところに助けをもとめにきたの
……血圧計と体温計をもって駆けつけてましたね
保健師、看護師そろってますからねっ! 瞬時に緊急体制!!
保健師AIBA君は救急車に連絡、看護師が測った体温や血圧や状態を電話口で伝えて
……
間もなく救急車が到着して。無事かかりつけのいわき医療センターに向かったわ
……
富岡町のさくらモールでの健康チェック開催中に、冷や汗をかき急に具合が悪くなられた高齢男性の救護を依頼されました。健康チェック開催ポスターの“医療支援”という文字を目にされたからだと思いますが、そこは石井はじめ保健師・看護師がそろっていますから、救急対応をさせていただきました。
まず、石井が血圧を測り、意識があることを確認して救急車手配の了解を得ました。すばやく救急車を呼んだのは保健師AIBA。救急車が到着すると石井と甘利理事長は足の悪い奥様を励まして一緒に救急車に向かい、救急隊員にそれまでの様子を詳細に報告し、きぼうときずなとしての救急対応を完了しました。
石井はご主人のかかりつけの病院へ向かう救急車を見送りながら、高齢者夫婦のこれからの生活がどうなるのか、いろいろな心配が浮かんできたのです。
足の悪いおばぁさんも援助されながら救急車へ乗り込んで一緒に病院へむかいました。
でもね~そのあとよ、な~んかとっても考えちゃいました。
おばぁさん一人で大丈夫かしら、おじぃさんはきっと入院になったと思うけど、おばぁさんはどうしたかしら、すぐ駆けつけられる地域にご家族はいらっしゃるかしら。
おじぃさんが入院してる間、だれか一緒に住んでるかしら
……
原発事故前のように隣近所に人が住んでるわけでもない、知人がたくさんいるというわけでもない、そんな環境で、手押し車の生活を一人では大変でしょ
……
待ち望んだ故郷への帰還なのに……
時間がかかりすぎましたね、高齢化が進んでしまいました
……高齢者への福祉ニーズは高まる一方です
若い世代は子供の教育や仕事を得るために新しい町での生活をはじめてしまってるのよね、でもね町に人が増えないと介護の担い手の確保も難しいのです。
本当に長期的な支援は大切です。
私たちにできることはやっていきますよ!
きぼうときずなの事務所にかけられている活動モットーです。これは保健師AIBAがきぼうときずなプロジェクトをすすめるにあたり決意表明したものです。いたく感銘を受けた大橋と石井、スタッフは以後、この言葉を心に掲げてやってきました。
……きぼうときずなの活動は地道ですが、気持ちを一つにしっかり頼みます、被災された住民のみなさんが、少しでも長く健康に暮らせるように。
まもなく2024年3月11日14時46分になります。
目を閉じて静かに思いを馳せて、そして14年目の活動にむけ気持ちをあらたにしてください
ちょうど1年前、昨年の3月11日、富岡町のさくらモールとみおかで開催された、無料簡易健康チェックの時の写真です。石井はイベントに参加してくれた東北大学と中央大学の若い学生ボランティアに、大橋がきぼうときずなプロジェクトを創設したこと。その後、復興庁や福島県などの支援活動にたずさわりながら、真の復興とはどのような姿か、日本の未来を見据えた地域医療の理想を考えながら模索してきたことを伝えたのです。
若い学生たちの参加で、真の復興へ希望がぐんとアップしたきぼうときずなの活動!
これからも覚悟と責任をもってやっていくことを、天国の大橋に誓った石井と保健師AIBA、スタッフたちです。
こんにちは、現地で走り回っているきぼうときずな号です。
今年度の活動も、無事に計画通り完了できる見通しができてきて、まずは一安心といったところです。
特に、富岡町での活動では学生さんたちの企画の「健康すごろく」をメインにしています。
参加いただける高齢者の皆さんの笑顔と、学生たちの熱量を糧にして、来年度の活動に向けて弾みをつけていきます。
話は変わりますが、急に体調が悪くなった方への対応で、石井さんは本当に落ち着いて状況を見て動かれていました。
その一方で、AIBAは119番に電話をかけることしかできなかったと反省&卑屈モードに入っていました。ただ、改めて考えると、石井さんとAIBAでは潜り抜けてきた修羅場の量と質が違うわけで、卑屈になること自体がおこがましいと気づき、今に至っております。
できなかったことに注目しすぎると、自分のことを実際以上に低く見積もってしまいます。できなかったことだけでなく、できたこと(今回はしっかりと救急車を呼べたこと)も受け入れて、自分に凸凹があること自体を愛してしまう。これからも、そんな風に生きていきます。
先月の稼動回数:1回
先月の走行距離: 8km
→食費目安 160円(燃費8.5km/L、ガソリン代175円/L)
きぼうときずなプロジェクト今後の予定(2月末現在)
〜令和5年度 復興庁「心の復興」事業〜
心と体とまちの栄養復興PJ(健康IKOI隊)
◇内容:スーパー店舗内に簡易健康チェックブースを設置して、健康を保つ方法を伝えます。
◇協力団体:株式会社ヨークベニマル サラヤ株式会社 医療創生大学学生ボランティア 東北大学学生ボランティア福興youth
■3/10(日) 会場:ヨークベニマル茂庭店@仙台市
心と体とまちの栄養復興PJ(まちづクリエーション)
◇内容:災害公営住宅集会所等で、学生ボランティアと地域住民が主体となってものづくりワークショップを実施することを支援します。
◇協力団体:富岡町役場健康福祉課 富岡町社会福祉協議会 医療創生大学学生ボランティア 東北大学学生ボランティア福興youth
■3/6(水) 会場:富岡町総合福祉センター@富岡町
■3/14(木) 会場:玉浦西地区集会所@岩沼市
■3/18(月) 会場:北中央団地集会所@福島市
今年の3月11日は大橋が天国へ旅立って3年目の命日です。まだ3年、もう3年……、石井、保健師AIBA、スタッフそれぞれ、困難にぶつかるたびに大橋が雲の上からを見守ってくれていると自分を励ましてきました。とくに石井はリーダーとして大橋から叱咤激励されていると実感することが何度もありました。