2014年 はまらっせんキッチンプロジェクト
実施の経緯
復興庁が推進する「新しい東北」先導モデル事業として、特定非営利活動法人・日本医療政策機構が本プロジェクトを実施していましたが、平成25年度途中より、保健師・看護師などの医療専門職の人材派遣と、被災住民に対する健康状態の調査・分析に関して協力することになりました。
プロジェクト概要
本プロジェクト全体の目的として、
- 仮設住宅などで、地元農作物を利用した料理教室と、健康相談などを含む健康増進活動を併せて実施し、住民の健康に働きかけること
- 地元農作物を通じて被災地域と都心部の交流を推進し、将来的にブランド化、地域活性化を目指すこと
が掲げられておりました。
当法人としては、プロジェクト「きぼうときずな」を通じて得られた経験を活かしつつ、前段(1.)の目的に則して協力させて頂きました。
実施内容
「はまらっせんキッチン@福島」として、福島県双葉郡富岡町、双葉町、川内村から郡山市に避難している方を対象に、平成26年2月から3月にかけて合計4回実施しました。
料理教室を担当する「料理おもてなし隊」は、福島県いわき市内や東京都内で飲食店等を展開する株式会社 47PLANNNINGのご協力のもと、「天厨菜館」天王洲アイル店総料理長・山野辺仁氏による仮設住宅のキッチンでも簡単に作れるヘルシー中華の4品分のレシピを、参加者の皆さんに伝授しました。
料理おもてなし隊
料理教室風景
健康増進活動を担当する「健康おもてなし隊」は、聖路加看護大学(現・聖路加国際大学)より派遣された保健師による健康相談、福島県栄養士会所属の栄養士による栄養相談、聖路加国際病院で心臓リハビリテーションヨガを指導中のインストラクターによるヨガクラス、東京大学医学部付属病院・循環器内科医師と保健師による自律神経機能測定を実施しました。
全4回の実施で、計78名(内、男性7名)の方に参加していただきました。
ヨガクラス
自律神経機能測定
中華料理と聞いて少しハードルが高いと感じていた参加者から、「簡単な作り方を教えてもらい作る気になった」「家でも是非やってみたい」との声が聞かれました。参加者とスタッフが皆でテーブルを囲んで食事をする際には、おしゃべりをしながら自然と笑顔になっていく姿が印象的でした。
また、普段の生活では体験し難いヨガクラス、自律神経機能測定を体験した参加者からは、「今まで動かさない筋肉がほぐれた」「結果をもとに(生活習慣を)気をつけたい」との声が聞かれました。健康相談、栄養相談についても、避難生活の実態に理解のある保健師・看護師・栄養士が携わったことで、参加者に寄り添った対応が行われました。
結果
参加者の皆さんに、普段の生活のなかで身体を動かす頻度、ストレスによる種々の症状、自身の周りの人々との繋がり、についてのアンケートにお答えいただきました。
その結果、
- ほとんどの参加者は仕事・家事で身体を動かしているが、散歩をする時間が減少していたり、座ったり寝て過ごすといった不活動時間が増えている者も認められた
- ストレスによる症状のうち、肩こりや倦怠感、疲れやすさなど、身体面に症状が強く出ている参加者が認められた
- 周りの人々と繋がりを感じている参加者が多かったが、繋がりをほとんど感じていない、という参加者が少なからず認められた
ということが分かりました。
本プロジェクトによって、参加者は周囲との交流が促され(料理教室)、生活習慣を見直すきっかけを得る(健康増進活動)ことが期待されますので、本プロジェクトが地元に根付いていくことで、住民の健康状態に良い影響を与えると考えられます。
今後の予定
平成26年度は、本プロジェクトを“はまらっせんプロジェクト”と改称し、「新しい東北」先導モデル事業の継続事業として、当法人が主体となって実施することになりました。
これに伴い、実施する地域も拡大して活動を展開し、料理教室と健康増進活動を大きな柱として、高齢者の健康状態(メンタルヘルス)の改善と介護予防に働きかけることで、被災地および被災された方々の支援を実施していきます。
関連リンク
復興庁HP
・平成25年度「新しい東北」先導モデル事業の成果報告(PDF)取組20(47~49ページ)